久遠の絆

シドは少しばかり苦笑した。


「お前、部屋で様子がおかしかったから、心配でここに連れてきたんだ」


そう言うと、「ここ?」とまだはっきりとしない頭で懸命に状況を把握しようとしている。


「隠れ家だ」


「隠れ家?シドが連れて来たの?」


虚ろだった蘭には記憶がないのか、どうやら一から説明しなくてはならないらしい。


「ああ、俺が連れて来た。ここでしばらく休むといい。俺も一緒にいるから」


「……」


「どうした?」


真顔で見返してくる蘭を、シドはおかしそうに見た。


「う、ううん。でも、シド、お仕事は?」


「ああ、外はひどい雪だ。しばらくはここに缶詰めになるかもな」


「え……?」


窓のほうを見たシドの視線を追って、蘭も枕の上で頭を巡らした。


もう太陽の光はない。


暗い夜の帳の中で、白い雪がしんしんと降っているのが、浮かび上がるようにして見えていた。


「冷えて来たな」


言って立ち上がるとシドはカーテンを閉め、


「腹減ったろう?」


何か作るよ、そう言い残して部屋を出て行った。


呼び止める間もなく。


どうしてシドがここに連れて来てくれたのか、いまいち理解できていない蘭は、静かになった部屋の中で寝返りを繰り返していた。




階下に降りたシドは「さて何作ろうか……」と呟きながら、食物庫を漁り、少ない食材の中から野菜や干し肉を持ち出した。


「ここに小麦があったかなっと」


釣り棚から小麦粉の入った壺を出し、手際よく何かを作り始めた。