久遠の絆

素直に言った言葉に反応が返ってこない。


怪訝に思って顔を上げると、シドは顔を真っ赤にして絶句していた。


「シ、シド?」


熱でもあるのかと慌てて声を掛けると、シドは片手で口を覆いながら頭を振って、


「いや、なんでもない……」

と、そのまま俯いてしまった。


(どうしたんだろ。具合悪いって事はないよね……)


心配で、彼を見続けていると、


「蘭」


不意に名前を呼ばれ、「な、なに?」と思わずどもってしまった。


「俺も、お前と出会えて嬉しい」


その瞳には真剣な光が宿っていて、今度は蘭が顔を赤くする番だった。


「あ、ありがと……」


蘭は蚊の鳴くような声でしか返事できなかったけど、内心は嬉しくて仕方なかった。


シドにもそう思ってもらえていたのだと分かって、本当に嬉しかった。


「わたしたち、これからもっといい友達になろうね」


蘭にとっては女にしても男にしても、これほど心を開くことのできた友達は他にいなかったから、自然にそう言えていた。


しかしシドは少し戸惑ったように顔を曇らせた。


「どうしたの?」


「いや……」


そう言って一度視線を外したシドは、窓の外を見ながら何か考えを巡らせているようだった。


蘭がもう一度どうしたのか訊こうとした時、すっと彼の視線が戻り、


「ああ、いい友達になろうな」


と、どこか吹っ切ったような表情でそう言ったのだった。


「う、うん。ありがと!」


にこにこと満面の笑顔を見せる蘭を、シドは内心複雑な想いで見返していた。