久遠の絆

◇◇◇




昼食を終えると、控え室として与えられた部屋で、カイルはひとり物思いに沈んでいた。


安楽椅子に身を投げ出すように座り、物憂げに瞼を閉じている。


なんとか停戦の合意に達したものの、自分の力不足を痛感していたのだ。


最初から劣勢だったにせよ、もっとやりようがあったのではないかと思えてならなかった。


何より、犠牲となったものたちの補償の確約が得られなかったことが悔やまれた。


相手は、シドなのだ。


かつて親友として、多くの時間を過ごしたシドなのだ。


もっとやり方があったのではないか。


そう思えて仕方なかった。




私はやはり、シドのことになると冷静ではいられないらしい




以前そう指摘した皇帝の顔が頭に浮かんだ。




あの方は、私のことをよく分かっているのだな




いや、皇帝だけでなく、人とはそういったものかも知れない。


えてして、自分のことよりも、他人のことの方がよく分かるものではないか。


その皇帝も、ついに退位させられる。


彼もけっして無能ではない。


むしろ内政に関しては、カイルなど及ばないほどの力を発揮する。


今が平時ならば。


そう平時ならば、歴史に名を残すほどの名君になったはずだった。


しかし時代というものは残酷だった。


彼はその性質にもっともふさわしくない時期に産み落とされてしまったのだ。


そして、自分の代で落日を迎えてしまった。