久遠の絆

カイルはギュッと拳を握り締めた。




これなら滅亡していた方がましだった?


いや。


国民のことを考えるなら。


たとえ支配者が変わっても、安定した生活が得られればそちらの方がいいはずだ。




カイルは自らに言い聞かすようにそう考えていた。


「不満は、ない」


低く短く言い切った彼にとって、それは苦渋の決断だった。



首都が総攻撃され、これ以上犠牲が増えるよりは、たとえ不利な条件ばかりではあったとしても未来がある方がいい。


そう。


その方がいいんだ。



『不満はない』

と言うカイルの言葉に、シドは少しばかり驚いたように眉を上げたものの、すぐさま笑顔になり立ち上がって手を差し伸ばした。


「交渉成立だ。元帥どの」


握手を求めるシドの顔をカイルはしばらく凝視していたものの、諦めたように立ち上がって手を伸ばした。


二人の手が合わさる。


と同時に、議事堂の内部に割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。


不敵に笑うシドと、表情なく相手を見つめるカイルと。


決して友好的ではないふたりを、いつまでも拍手と歓声が包んでいた。





午後。


協定書に調印が行われ、正式に停戦となる。