久遠の絆

◇◇◇




一瞬彼の視線と合ったと思ったのに。


彼はすでにシドの方へと歩み寄っている。






ああ、でも



カイルが、そこにいる……





文字通り、穴のあくほどカイルを見つめていた。


けれど彼の視線が再び蘭を捕えることはなく……。


カイルは懐かしい、あの穏やかな笑みを湛えたまま、話し合いの席へと付いてしまった。


シドもまた蘭の存在など忘れてしまったように、鋭い眼をかつての親友に向けながら、細長い机の向かい側の椅子に座ってしまった。


シドの隣にヘラルドが座ると、そのふたりを挟むように同盟各国の代表の席が設けられていた。


帝国側の主な人物と言えばカイルだけ。


数からすれば、帝国側は極端に不利なように思われた。


しかしそこは聡明な頭脳を持つ元帥だ。


おそらく数は問題ではないだろう。


それに同盟側も、主たる論者はシドだけだ。


各国代表に発言は許されていないらしい。


簡単な挨拶が交わされたあと、カイルとシドの間でのみ会話が交わされていった。


(あのふたりが喋ってる)


蘭は不思議な感じがしていた。


このような話し合いの場だからこそだろうけど、それでも犬猿の仲だと思っていた彼らが穏やかに話を進めている様子は、かつて親友であったふたりをも思わせて、蘭は意味なく嬉しくなっていた。


しかしそのように思ったのは、その協議の場から蘭が少し離れた席にいたせいだった。


近くにいたものならすぐに分かった。


帝国と同盟の両首脳の間には、バチバチと音まで聞こえそうな火花が散っていたのである。