◇◇◇
真っ暗な部屋の中に、隻眼の男がひとり佇んでいる。
手には真っ赤な葡萄酒の入ったグラスを持ち、目は赤々と燃える暖炉の火に向けられていた。
眼帯をしていない方の目も、その日の色を映し、赤く光っている。
だが。
その光はどこまでも暗く澱んでいるようだった。
「小娘が!」
暖炉の火がいっそう高く燃え上がったのと同時に、ヘラルドは血を吐くように毒づいた。
「帝国と停戦など誰が喜ぶものかっ。シドさまもなぜあのような小娘に……」
いや
あり得ない話ではなかったな
ヘラルドはそうひとりごちた。
「それもまた運命か」
だが
目ざわりだ
「そう、目ざわりなのだ。瑠璃の巫女よ」
いずれ、この手でひねりつぶす
必ず
ヘラルドの手の中でグラスが砕け、葡萄酒よりもまだ赤いものが滴り落ちた。
彼はそれを慈しむように、伸ばした舌でひとなめした。
真っ暗な部屋の中に、隻眼の男がひとり佇んでいる。
手には真っ赤な葡萄酒の入ったグラスを持ち、目は赤々と燃える暖炉の火に向けられていた。
眼帯をしていない方の目も、その日の色を映し、赤く光っている。
だが。
その光はどこまでも暗く澱んでいるようだった。
「小娘が!」
暖炉の火がいっそう高く燃え上がったのと同時に、ヘラルドは血を吐くように毒づいた。
「帝国と停戦など誰が喜ぶものかっ。シドさまもなぜあのような小娘に……」
いや
あり得ない話ではなかったな
ヘラルドはそうひとりごちた。
「それもまた運命か」
だが
目ざわりだ
「そう、目ざわりなのだ。瑠璃の巫女よ」
いずれ、この手でひねりつぶす
必ず
ヘラルドの手の中でグラスが砕け、葡萄酒よりもまだ赤いものが滴り落ちた。
彼はそれを慈しむように、伸ばした舌でひとなめした。


