久遠の絆

部屋に戻り落ち着くと、改めて首の辺りに鈍い痛みを感じた。


鏡で見ると襟に沿って、首の周りが赤くなっていた。


(どんだけの力で……わたしを殺してもいいくらいの気持ちだったのかな……)


ますます怖い人だと思う。


あのヘラルドという人は。


(シドはなんであんな人を傍に置いておくんだろう)


もしかするとあの人がいなければ、シドはずっと帝国に居続けたかもしれない。


あんな病気にはならなかったかもしれない。


そんな深読みまでしてしまう。


(でもあのふたり、いつから一緒にいるんだろう)


どの段階でヘラルドはシドの側近となったのか。


疑問に思い始めると、そこにシドを救う手掛かりがある気がして来て、蘭は次にシドに会う時には訊いてみようと思うのだった。


それにしても、よく殺されなかった。


シドがいたとはいえ、ヘラルドは本気だった。


本気で蘭を殺そうとしていた。


あの時の意識が遠のいていく感覚を思い出して、蘭はぶるっと背筋を震わせた。


もしあの時シドがいなければ、あともう少し指に力が込められていれば……。


(わたしはもうここにはいなかった?)


でも、瑠璃の巫女である蘭を必要としているはずなのに、どうして殺そうとしたんだろう。


それほどに、シドと接触されるのが嫌なのか。


それとも、必要としているのはやはり瑠璃の石だけで、蘭はどうでもいい存在なのか。


(は~。どちらにしても、嫌われてるのは確かだよね)


以前は何ともなかった、人から嫌われるということ。


それが今は、とても悲しい。


皆に好かれるはずはないと身に染みて分かっているのに、どうしてこの世界にいると皆と仲良くなりたいって思うのか。