あの海の向こうには北の大陸がある。
(遠いな……)
そこに住む人たちを思い出そうとすればすぐに思い出せるのに、しかしその陸地すら見ることはできないのだ。
「今日呼んだのはほかでもない」
ぼんやりと考え込んでいると、不意に声が掛けられた。
「は、はいっ」
驚いて振り向くと、シドがこちらを見ていた。
「何を考えていた?」
「え?」
「数回、お前を呼んだ」
「あ、ご、ごめんなさい!」
シドはだからと言って不機嫌になっているわけではないようで、小さく笑うと「まあ、いい」と言って立ち上がった。
そして蘭の方に数歩近付いた。
「シドさん?」
「俺のことはシドでいい。部下でもない女に、いちいちさん付けされるのは気に食わない」
「でも……」
いいんだろうか。
「友達になるんじゃなかったか?」
「あ、はい、そうです」
「なら、遠慮するな」
微笑むシドを見て、(シドさんて、やっぱりほんとはいい人なのかも)としみじみ感じた。
きっとその立場からいろいろな顔を持たなくてはいけなかったのだろうけど、本来は心優しい人なのに違いない。
そう感じた。
(遠いな……)
そこに住む人たちを思い出そうとすればすぐに思い出せるのに、しかしその陸地すら見ることはできないのだ。
「今日呼んだのはほかでもない」
ぼんやりと考え込んでいると、不意に声が掛けられた。
「は、はいっ」
驚いて振り向くと、シドがこちらを見ていた。
「何を考えていた?」
「え?」
「数回、お前を呼んだ」
「あ、ご、ごめんなさい!」
シドはだからと言って不機嫌になっているわけではないようで、小さく笑うと「まあ、いい」と言って立ち上がった。
そして蘭の方に数歩近付いた。
「シドさん?」
「俺のことはシドでいい。部下でもない女に、いちいちさん付けされるのは気に食わない」
「でも……」
いいんだろうか。
「友達になるんじゃなかったか?」
「あ、はい、そうです」
「なら、遠慮するな」
微笑むシドを見て、(シドさんて、やっぱりほんとはいい人なのかも)としみじみ感じた。
きっとその立場からいろいろな顔を持たなくてはいけなかったのだろうけど、本来は心優しい人なのに違いない。
そう感じた。


