久遠の絆

「あっ」


その光を見て、瞬時に悟った。


シドは元に戻ったのだ。


それまでの柔和さはすっかり消え、冷たい空気を纏ったガルーダの総帥がそこにいた。


「何故、お前がそこにいる?」


「……」


棘を含んだ声に心が萎える。


(だめだめ、負けたらだめっ)


蘭はそれでも懸命に心を奮い立たせてシドを見返した。


「何故、お前がいる?」


「あなたと話がしたくて」


震える声を必死に抑制しながら蘭は答えた。


「俺と話?」


ふっと自嘲的な笑みを浮かべてソファの背もたれに寄り掛かるシド。


「俺と話をして何になるというのだ?」


「……あなたと、わたしは同じだから」


「……」


「同じように心に傷を抱え、今もそこから血を流してる」


「なに?」


漆黒の瞳に睨みつけられ、蘭は息を飲んだ。


やはり無理なんだろうか。


どんな言葉を用いても彼には届かないんだろうか。


ともすれば折れそうになる心。


でもそんな時に浮かぶのが、カイゼライトの顔だった。


あの心優しい人のためにも。


ここで折れてる場合じゃない。


蘭は気持ちを切り替えるように深く深呼吸した。


「今のあなたになら分かりますよね。カイゼライトさんのことを言っても」


瞬間シドは目を見開いた。


(反応ありだ)


そのことに勇気を得て蘭は続けた。


「カイゼライトさんにいろいろ聞きました。あなたがここに至った経緯とか、生い立ちとか」


「なん……だと?」


明らかに動揺するシド。


蘭は今、きっと彼にとって触れてはいけない部分に触れようとしている。


でもここで止めるわけにはいかないのだ。