(料理ができるのって、変わる前のシドもなのかな?)
今の柔和な雰囲気のシドだけなんだろうか。
(どちらかと言えば、この違う方のシドがわたしは好きなんだけどな)
でも時間になれば、彼は元のシドに戻ってしまう。
(やっぱりそんなのダメだよ。不自然だ)
改めてそう思った。
たとえこの柔和なシドが好きであっても、それは病気から生まれたもの。
本来のあるべき姿ではないのだから。
「シドさん」
「何?」
彼は美味しそうに、自分で作ったパンを一口分ずつちぎって口に放り込みながら蘭を見た。
「……シドさんはこの前寂しいって言ってましたよね」
彼は口の動きを止めた。
「わたしに側にいてほしいって言ってましたよね」
「……ああ、そう言えば、言ったかな」
「わたし、それを聞いて嬉しかったんです。シドさんの本当の声を聞けたような気がして。近寄りがたかったシドさんに少し近付けたような気がして嬉しかった」
「……」
「でもそのあと、すごく寂しそうな顔をしていて……。胸が痛くて。わたしもシドさんの側にいてあげたくなって。でも、そう言うわけにもいかなくて。どうにかもう一度シドさんに会いたいって思ってたんです。そしたら、わたしある人に会ったんです」
「ある人?」
「はい。えと、今のシドさんに言っても分かるのかな……?お兄さんです。カイゼライト・フォーンネス・エルブライトさん」
「カイゼライト……」
シドの表情は虚ろだった。
必死に記憶を辿っているという感じだったけれど、結局「俺は知らないな、ごめんね」と申し訳なさそうに言った。
やはり入れ替わっている間はお互いに関する記憶はないらしい。
(どうしよう。カイゼライトさんのこと知らないんだったら、話が進まないよ)
困惑する蘭に、シドはまだ申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
今の柔和な雰囲気のシドだけなんだろうか。
(どちらかと言えば、この違う方のシドがわたしは好きなんだけどな)
でも時間になれば、彼は元のシドに戻ってしまう。
(やっぱりそんなのダメだよ。不自然だ)
改めてそう思った。
たとえこの柔和なシドが好きであっても、それは病気から生まれたもの。
本来のあるべき姿ではないのだから。
「シドさん」
「何?」
彼は美味しそうに、自分で作ったパンを一口分ずつちぎって口に放り込みながら蘭を見た。
「……シドさんはこの前寂しいって言ってましたよね」
彼は口の動きを止めた。
「わたしに側にいてほしいって言ってましたよね」
「……ああ、そう言えば、言ったかな」
「わたし、それを聞いて嬉しかったんです。シドさんの本当の声を聞けたような気がして。近寄りがたかったシドさんに少し近付けたような気がして嬉しかった」
「……」
「でもそのあと、すごく寂しそうな顔をしていて……。胸が痛くて。わたしもシドさんの側にいてあげたくなって。でも、そう言うわけにもいかなくて。どうにかもう一度シドさんに会いたいって思ってたんです。そしたら、わたしある人に会ったんです」
「ある人?」
「はい。えと、今のシドさんに言っても分かるのかな……?お兄さんです。カイゼライト・フォーンネス・エルブライトさん」
「カイゼライト……」
シドの表情は虚ろだった。
必死に記憶を辿っているという感じだったけれど、結局「俺は知らないな、ごめんね」と申し訳なさそうに言った。
やはり入れ替わっている間はお互いに関する記憶はないらしい。
(どうしよう。カイゼライトさんのこと知らないんだったら、話が進まないよ)
困惑する蘭に、シドはまだ申し訳なさそうな表情を浮かべていた。


