久遠の絆

雪の中の『隠れ家』はひっそりとしていて、そこから小人なんかが飛び出して来ても不思議はないくらい、お伽話の世界みたいな雰囲気だった。


(かわいい……)


思わず見とれたけど、あの中にいるのは立派に成人した男性なのだ。


(ヘラルドさんが造らせたっていうけど、これがあの人の趣味なのかな?)


いや、ありえない。


蘭はすぐさま否定した。


あの冷血漢がこんな趣味なんて、絶対ない。


きっと少しでもシドの癒しになるようにとの配慮から、こんな家になったのだろう。


(そこまで彼のことを心配するなら、もっと親身になってあげればいいんだ)


ヘラルドがもっと早くにシドの治療に取り組んでいれば、ここまで深刻な状態になっていなかったんじゃないかと思う。


「蘭、そろそろいいかい?」


「は、はい。行ってきます!」


敬礼しそうな勢いで姿勢を正す蘭をくすくす笑いながら、カイゼライトは、

「そんな緊張しなくていいから。怖い側近はいないしね」

と励ますように言った。


「はい、そうですね。わたし、頑張ります」


するとカイゼライトが優しく蘭の頭を撫でつつ辛そうに言った。


「こんな大変なこと頼んでごめんね」


「いいえ、全然。カイゼライトさんのためにも、わたしがんばります。じゃあ、行って来ますね」


意気揚々というわけにはいかないけれど、それでも蘭は確実な足取りで隠れ家へと歩いていった。