久遠の絆

その夜ナイルターシャの小屋から自室へと戻る道すがら。


蘭は毎晩の日課になっている、小道の途中の大木のウロを覗き込んだ。


(今日も何もないんだろうな)


そう思いながら目を凝らすと、白いものがひらひらしているのが目に付いた。


(あれ?)


昨夜覗いた時には確かにこんなものはなかった。


手を伸ばしてその白いものに触れると、それは小さな紙片だった。


(もしかして……)


高鳴る胸を落ち着かせながら、その紙を開いてみる。


つらつらと何か書いてあるけど、そこでは暗くてよく見えなかった。


(仕方ない。部屋に戻って見よう)


蘭は紙片をさらに小さく折ると、胸元を開け、下着の中に滑り込ませた。


リリカは着替えの手伝いをすることはない。


だからまず見つかることはないだろう。


(さあ、急がなくっちゃ)


この間のことがあって、リリカは時間に対して随分敏感になっていた。


彼女はまた失態を繰り返せば、今度こそどんな罰を受けるか分からない。


そんな罰は蘭も受けさせたくはなかった。


ヘラルドは部下に対しても、いや、部下だからこそ容赦ないだろうから。


蘭は走り出していた。


時折木の根に足を取られてつんのめった。


でもそれに構わず走り続けた。


小道の入り口近くになってようやく足を緩めると、珍しくそこに人影がない。


(リリカ、まだ来てないんだ)


ほっとして側にあった岩に腰かけていると、しばらくしてリリカがやって来た。


「お待たせして、申し訳ありません」


「ううん、わたしが早く着きすぎちゃったの」