久遠の絆

「まだ、いたんだね」


そのどろどろとしたものは次第に人の形をとっていった。


ぼこぼこと泡立ちながら、徐々に固形化していく。


やがて、見知った男の姿になった。


『ラン……』


くぐもった声に、ばっと全身に鳥肌が立った。


『何か強いものを持っているね』


それは一歩蘭に近付いた。


けれど蘭は逃げまいとぐっと足を踏ん張り、それを睨みつけた。


『その力が邪魔をして、なかなかお前に近付くことが出来ないんだ。だけど今日はその隙を突くことができたよ』


(何を言ってるの?)


すると、左の薬指がほんのり温かくなった。


(あ……瑠璃の石)


『そう、それだよ。ああ、苦しい。また私を拒絶するんだね。だめだよ。お前は私のものなんだから』


「あんたなんか、大っ嫌い!」


『何を言ってるんだ、私のかわいいラン……』


「大っ嫌いったら、大っ嫌い!」


『ああ、愛しい……。父さんはお前を抱きたくて、たまらないんだ……』


吐き気がする。


また一歩近付いた。


「近付かないでよっ!これ以上わたしに構わないでっ」



あいつはわたしの人生を狂わせた張本人。


本当に嫌なんだ!



蘭がそう思うのと同時に、瑠璃の石から青い光が溢れ出た。


その光は大きな塊となって、化け物と化した父親を襲う。


『ン、ンギャーーッ!!』


それは断末魔を思わせるような悲鳴を上げて霧散した。