久遠の絆

「シドの病気のことは知ってるかな?」


「はい、一度だけ隠れ家に行った時に。あれってやっぱり病気なんですか?」


「うん……一時的に人格が入れ替わり、入れ替わっている間の記憶は本人にはない。かい離障害のようなものだろうけど」


「だったらお医者さんに診てもらったほうがいいんじゃないですか?」


「ヘラルドがそれを許すと思うかい?」


「あ……」


「シドは常に冷徹な総帥でいなくてはならない。医者に診せて、もしこのことが漏洩してしまえば、きっとシドは総帥でいられなくなるだろう。彼ならきっとそう考える。だから絶対医者に診せようとはしないよ」


「そんなの、酷すぎる」


ヘラルドはどこまで自分の思い通りに他人を動かせば気が済むのだろう。


ますます彼を嫌いになっていくみたいだった。


「このガルーダは、シドのもののようでいて、実はヘラルドのものだといってもいい。彼がすべてを牛耳っているんだ」


「はい」


「だから、君の動きを彼に知られてはまずい」


「ですね」


このことを知られれば、今度は張り手ではすまないだろうと思う。


ぶるっと身震いした蘭に、カイゼライトはふっと微笑むと、


「けして君には危害を加えさせない。約束するよ」

と強く言い切った。


元は帝国の中枢にいた人物だ。


頭の良さなど自分とは比べものにならないだろう、と蘭は思った。


彼にすべてを任せよう。


「ああ、いけない。そろそろ時間切れだ。まだ戻ってはいないだろうけど、用心に越したことはないから」


送っていくよ。


そう言ってカイゼライトは立ち上がった。


蘭もちらりと時計を見ると、ナイルターシャの部屋を出るときに時計を確認した時から、2時間あまりがたっている。