久遠の絆

カイゼライトの視線がスッと下に下がった。


それを追うと、その先には手首の傷が見えていた。


包帯を取ってしまったことをすっかり忘れていたのだ。


「あっ」


小さく声を上げて、蘭は咄嗟にその傷を隠した。


けれどカイゼライトは見てしまっただろう。


「君も、辛い思いをしてきたんだね」


彼の優しく労わるような声に、蘭の中から熱いものが込み上げてきた。


「ん」と嗚咽が零れ、ぼろぼろと涙が落ちてきた。


「ごめん。触れるべきじゃなかった」


蘭は激しく頭を振ると、

「わたしはこれを乗り越えなくちゃダメなんです」

と涙混じりの声で言った。


「これを乗り越えた時わたしは前に進めるから。だから、いいんです」


「君は……強いんだね」


「いいえ、弱いです。弱いから、どんどん泥沼にはまっていって……。でもこの世界に
来て、強くなろうって思えるようになったんです」


カイゼライトの包み込むような笑顔が温かい。


(わたしはこの優しくて素敵な人のためにも、シドさんを助けなくちゃいけないんだ)


蘭の中に強い決意が湧いてきた。


「シドを助けてくれるかい?」


それを感じ取ったわけでもないだろうが、カイゼライトが確認するように言った。


「はい。カイゼライトさんのために、また兄弟前みたいにが仲良くなれるように、わたしにできることをやってみようと思います」


「ありがとう」


蘭は正直不安でいっぱいだったけれど。


でもこれをやり遂げなくては、結局何も出来ないまま終わってしまうような気がしていた。


(人の心に介入することになるんだもの。きっと一筋縄ではいかないだろうけど)