久遠の絆

「僕がここにいるのは、シドへの贖罪のためなんだよ」


寂しげに笑いながら、カイゼライトはそう言った。


「贖罪?」


「そう。……帝国にいる間、僕のことやエルブライト家のことを聞いたことがあったかい?」


首を振る蘭に、カイゼライトはそうだろうと言うように頷いた。


「帝国で、僕たちのことは禁忌となっているはずだ。僕はね、シドにこの話を聞いてから、家と皇帝に絶縁状を送ったんだよ」


「え?!」


「弟の苦しみを分かってやれなかった僕が、どうしてのうのうと大貴族なんかやっていられるだろう。……エルブライト家は二人の息子を失った挙句、国への背信の罪を問われ、断絶となった」


「……」


「だが、それでも、シドやシドの母への償いにはならない。だから僕はシドの側にいて、シドへの償いを続けているんだよ」


言葉を失う蘭から視線を外すと、カイゼライトは部屋の中を見渡した。


「それでも……3か月前までは野宿をしていた僕を、こうして住み心地のよい部屋に迎えてくれたんだ。少しは僕のことを気にしてくれるようになったのかと、嬉しかった」



だから、彼は自分のことを『いらない人間』などと言ったのだろうか?


帝国でもその存在を消され、このガルーダでもいない者として扱われている。


(本当は、そんな扱いを受けていい人じゃないはずなのに!)


シドに言ってやりたかった。


カイゼライトは悪くないと。


悪いのはすべて大人で、彼もまた被害者なのだと。


そう思うと、子供というのはどの世界でも大人に振り回されるものなのか。


蘭は悔しくななって、膝の上で拳を握り締めた。


「シドさんに言いたいです」


「え、何を?」


「カイゼライトさんをちゃんとお兄さんとして迎えろって。こんなにもシドさんのことを思ってくれるお兄さんをどうしてないがしろにするんだって」


「……ありがとう。でもね。君にはまず、シドを助けてやって欲しいんだ」


「シドさんを?」


「そう」