久遠の絆

なんとかシドに会いたいと手を尽くしたが受け入れられなかった。


「俺に兄はいない」


シドがそう言ったと、彼の側近である隻眼の男に告げられた。


だが機会を窺って数日。


やっとシドが一人でいるところに行きあうことができた。


海を見ながら佇むシドに、彼は背後から声をかけた。






「シド」


「……」


「何故、帝国を捨てた?家を裏切った?」


その時はまだ、説得すれば弟は戻って来てくれるだろうと甘い期待を抱いていた。


「兄上は、なんの疑問も抱かないのか?」


「まだ兄と呼んでくれるのか」


期待が膨らんでいく。


「……俺は、必要のない人間だ。帝国にも、家にも」


「!!」


胸をえぐり取られるようだった。


「な、何を言っているんだ?父上も、母上も心配されている。お前の帰るべき場所は、ダンドラークだけだ」


しかしカイゼライトの必死の思いは、シドをすり抜け、海へと落ちていく。


そんな錯覚を覚えた。


「父上や母上が心配されるのは家の行く末だけだろう?俺はもう、あの人たちの思惑に振り回されるのはうんざりなんだ。俺は、俺の理想の国を作る。誰も苦しまずに済む、誰もが平等な国を」


「……シド……」


カイゼライトはその時初めて、シドの心の闇を垣間見ていた。


自分が気付くことなく過ごしてきた弟の苦しみ、絶望。


弟は、こんなにも深い闇を抱いていたのか?


自分たちと笑い合っている時でさえ?