久遠の絆

「し、シドのお兄さん?」


いや、それならば何となく似ていることも納得できる。


できるけれど。


予想だにしていなかった答えだけに、蘭は受け入れるのに多少の時間が掛った。


(だって、お兄さんなら、なんだってこんな世捨て人みたいな生活してるの?総帥のお兄さんでしょ?)


さらに思うのは、帝国にいた間シドの兄のことなど誰からも聞いていなかったことだ。


カイルでさえ、そんなこと言っていなかった。


そんな疑問に答えるように、彼は話を続けた。


「兄、と言っても、僕は彼とは半分しか血が繋がらない。母が違うんだ……」






カイゼライト・フォーンネス・エルブライト。


それが彼の名だった。


ネスとは、長兄に与えられる敬称のようなもの。


生まれた瞬間から後継ぎとして扱われるのだ。


エルブライト家は、カイルのアルファラ公爵家と並び称されるほどの名門の家柄だった。


彼は順風満帆な少年時代を過ごした。


現皇帝やカイルらとも親しみ、いずれは国を担うべき人物として成長していった。


しかし彼が成人を迎えた頃、一つの転機が訪れた。


異母弟であるシドが忽然と姿を消したのだ。


彼も優秀な政治家として頭角を現しつつある時だった。


国に衝撃が走った。


兄であるカイゼライトも、当然連日の聴取を受けたものの、彼が何かを知っているわけもなく、シドの行方は要として知れなかった。


カイゼライトも独自の人脈を使って徹底的に調べ、ようやくシドが南の大陸にいることを突き止めた。


誰かに報告する前に自分の目で確かめようと、単身南の大陸へ渡航した。


しかしその時すでにシドは、ガルーダの総帥として着々と地盤を固めていたのだ。