「手荒なまねをしてすまなかったけど、、もう今夜しか君と話せる機会はないかもしれない」
「どうして?」
「今夜は同盟の全体会議があって、シドもヘラルドも外出してるんだよ。戻ってくるのは、夜中か明日の朝」
とにかく、急ごう。
彼は蘭の手を取って、足早に歩き始めた。
「ど、どこに?」
「僕の部屋」
それ以降彼が口を開くことはなく、蘭も彼の速度に合わせるのに必死だったため話しかけることができなかった。
今話しかけなくても、いずれ彼が教えてくれるだろう。
彼が誰なのかも含めて。
彼の部屋も、シドの隠れ家と同様、人気のない敷地の最も奥まった場所にひっそりとあった。
「ここには誰も来ないから、安心」
ヘラルドだって、来やしない。
「え、どうしてですか?」
「僕はいない人間なんだよ」
「……」
シドやヘラルドの動向を知っている人だ。
当然幹部クラスの、行政の中心にいる人だと思っていた。
それなのに、いない人間とはいったい……。
「紅茶でいいかな」
彼に言われてソファに腰かけた蘭は、彼がお茶の用意をしている間部屋の中をまじまじと観察してしまった。
『いない人間』だなんて、彼は自分のことをとんでもないふうに言ったけれど、部屋の中は高級そうな調度で整えられていて、とてもじゃないどそんな風には思えなかった。
なんで、自分のことを卑下するんだろう。
こんなに素敵な人なのに。
「どうして?」
「今夜は同盟の全体会議があって、シドもヘラルドも外出してるんだよ。戻ってくるのは、夜中か明日の朝」
とにかく、急ごう。
彼は蘭の手を取って、足早に歩き始めた。
「ど、どこに?」
「僕の部屋」
それ以降彼が口を開くことはなく、蘭も彼の速度に合わせるのに必死だったため話しかけることができなかった。
今話しかけなくても、いずれ彼が教えてくれるだろう。
彼が誰なのかも含めて。
彼の部屋も、シドの隠れ家と同様、人気のない敷地の最も奥まった場所にひっそりとあった。
「ここには誰も来ないから、安心」
ヘラルドだって、来やしない。
「え、どうしてですか?」
「僕はいない人間なんだよ」
「……」
シドやヘラルドの動向を知っている人だ。
当然幹部クラスの、行政の中心にいる人だと思っていた。
それなのに、いない人間とはいったい……。
「紅茶でいいかな」
彼に言われてソファに腰かけた蘭は、彼がお茶の用意をしている間部屋の中をまじまじと観察してしまった。
『いない人間』だなんて、彼は自分のことをとんでもないふうに言ったけれど、部屋の中は高級そうな調度で整えられていて、とてもじゃないどそんな風には思えなかった。
なんで、自分のことを卑下するんだろう。
こんなに素敵な人なのに。


