久遠の絆

いまだ覚えきれない入り組んだ廊下を歩き、部屋に着くと、テーブルには豪勢な食事が用意されていた。


「部屋着にお召し替え下さい」


ナイルターシャの元へ行ってから少ない衣服を着回していただけに、ゆったりと着心地の良い部屋着に袖を通すと、ほっとして肩の力が抜けたみたいだった。


このような場所で与えられた部屋でも、一応自分の部屋だという意識はあるらしい。


席に着くと、どれから口にしようかと迷うほどのご馳走で、蘭はしばらく惚けていた。


「いかがなさいました?」


リリカがグラスに水を注ぎながら、注意深く蘭の様子を観察している。


「ん、ううん。……あんまりすごいご馳走だったから、びっくりしちゃって」


「まあ、そうですか?ランさまが久しぶりに戻っていらっしゃるので、料理長に特に言って作らせましたのよ」


「え、リリカが?」


「え、ええ」


「そうなんだ~。ありがとう!」


満面の笑みで礼を言うと、リリカが心なし顔を赤らめたような気がした。


彼女の気まぐれかもしれないけれど、蘭のことを思ってしてくれたことなのだからやっぱり嬉しかった。


(少しは歩み寄れたりするのかな?)


などと、またまた無駄な期待をしてしまう。


そしてまた、思わぬ冷たさに落ち込んでしまうのだから。


幾度となく繰り返す、同じ失敗のことを思いながら、蘭は料理を平らげていった。


(でもそれは、リリカとの関係だけのことでもないよね。学校の友達だって、みんな腹の底を探りあいながら付き合ってるってこと、あるもの)


もともと人付き合いは上手くはない。


だから、こちらが仲良くなっていると思っていても、実は相手はそうは思っていなかったということがよくあった。


その度に落ち込んで。


家でも落ち着ける場所はなくて。


(ほんとにわたし、あっちの世界でよく生きていられたよ)