ああ、そうなんだ。
ばばさまはそれを言いたかったんだ。
もっとここの人たちと関われ、と。
「そうだよね。自分から話しかけないと、何も変わらないよね?」
蘭は我知らず指輪の石に話しかけていた。
すると石がちかちかと瞬いた。
まるで「その通り」と返事をしたようだった。
「……気のせい、だよね?」
苦笑する蘭に、今度はチカチカチカと激しく瞬いた。
「はは、気のせい、気のせい」
石と会話するなんて、蘭にはまだ受け入れがたいことだった。
「でもこれなんかも受け入れないとだめ、なのかな?」
この世界に来たことでさえ不思議なことだとは言え、これはあまりに不思議過ぎないか?
「段々慣れていくのかな~」
答えを求めるようにナイルターシャを見たが、夕餉を終えた彼女はすでに寝息を立てていた。
まだ粥しか食べられないが、それでも口から食べ物を入れられるようになったのだから回復してきていると言えるだろう。
「また聞いてみよう」
(そろそろだしね)
ナイルターシャの治療を始めてひと月。
ようやく蘭に自室に戻る許可が下りたのだ。
今夜からは、夜は部屋に戻り、朝またこの小屋を訪れる、という生活が始まる。
ヘラルドに殴られて以来、大人しくしていたのが良かったらしい。
向こうの警戒も解けたのか、かなりの温情措置だった。
(ヘラルドさんのことだから、きっと何か思惑があるのかもしれないけど)
それでも嬉しかった。


