久遠の絆

毎日ナイルターシャにふたつの石による治療を続けながら、蘭はこれからどうするべきかを考えていた。


(知る、まずは何を知ればいいんだろう)


この世界の仕組みについてはカイルに教えて貰っていたので大まかなことは分かっていたけれど、ナイルターシャの言う『世界』はそれとは違うものなのだろうと思う。


(例えば……人……?)


これまで蘭は傍観者だった。


ダンドラークにいた時もこのガルーダに来てからも、周りで起こることはすべて余所で起きたことであって、自分には関係ないことだという意識がどこかにあった。


マトにこの石を渡された時も、実のところ考えていたのは『マトの敬愛するばばさま』を助けることだった。


自分がここにいてもいいのだと思いたくてマトには格好のいいことを言ったけど、本当は『世界』など大き過ぎて自分に救うことが出来るとは思っていなかった。


不安だった。


石を見るたびに、大きすぎるものを背負わされたような気がして気が滅入った。


何故わたしなんだという思いがあったから。


でも今は、違う。


大好きなカイルが愛するこの世界。


そして関わる内に見えて来た、この世界の人々の悩みや苦しみ、喜び。


彼らも自分と同じ人間なのだと。


世界の仕組みが違うから、その思考ややり方には戸惑うことも多いけれど。


(でもわたしは、この世界の人たちが大好きだ)


ダンドラークの人たちは皆素晴らしい人ばかりだったし。


ガルーダの人たちは……。


怖いヘラルドは苦手だけど、思わぬ形で心の傷を垣間見たシド・フォーンには少なからず興味があるし、あのヴァイオリンの人。


(あの人は、なんだか特別なんだよね)


ほんわかとした独特の雰囲気も、奏でるヴァイオリンの音色も、すべてが素敵な人だった。


(あの人のことは、ほんとにもっと知りたいと思うよ)