久遠の絆

「かつての巫女姫と瑠璃の巫女についての伝説は、いろいろな形に派生して伝わってしまったの。本当は瑠璃の石など存在しないという話もあるし、そもそも神が巫女姫を作ったという話もでたらめだと言う人までいる。
時代はどんどん進んでいるから、それも仕方ないことだけど。蘭」


「は、はい」


「真実を見極める目を持ちなさい」


「ばばさま……」


「伝説の巫女姫本人がここにいるのよ」


「はい、知ってます」


「その本人が話すことと、移り変わってきた伝承を本当のことだと言う人と、あなたはどちらを信じるの?」


「あ……」


胸にわだかまっていたものがスッと溶けたようだった。


自分に向けられた言葉をすべて鵜呑みにして、真実は何かを自分で知ろうとしていなかったのだと気が付いたのだ。


今まで人に教えてもらうことばかりを考えて、自らの足で調べようしたことがあっただろうか。


(前向きであろうと思うばかりで、わたしはまだ何ひとつ変われてはいないんだ)



「ばばさま、真実を知るために、わたしはもっと動かないといけないんですね」


老女は目を細めた。


それは孫に注ぐようなまなざしだった。


「無理をしてはいけませんよ。でもそうね、ひと所に留まっていても、何も見えては来ないでしょう。あなたはこの世界のことをまだ多くは知らないのでしょう?」


たしかにその通りだった。


漠然とこの世界を救うことばかり考えていたけれど、救うべきこの世界のことについて知っていることと言えば僅かだ。


(そうか、わたしに足りないのはこれだったんだ)


こうしてナイルターシャがここに連れて来られていたのも、偶然ではなかったのではという気がしてくる。


(わたしに教えるために、ばばさまはわざと……?)


穿った見方だとは思う。


けれど偶然ではないような気がするのだ。




わざとでなければ、運命?


こうなるのだと決まっていた?




いずれにせよ、蘭はナイルターシャにひとつの答えを貰ったのだった。