久遠の絆

結局婚約云々の話を聞くことはできなかったけれど、それは夢なのだから仕方ないと蘭は諦めた。


老女は日に日に元気を取り戻していくようだった。


日に一度ふたつの石の力を与え続けていると、ベッドに起き上がって食事が取れるまでになっていた。


蘭がガルーダに来てひと月後のある朝、食事の介助をしていると、老女は愛しそうに瑠璃の石を撫でながら、

「本当にあなたが『瑠璃の巫女』で、良かった」


蘭は自分に向けられた言葉だとは一瞬気付かなかった。


老女の視線は石に注がれていたからだ。



「え?」


「本当よ。その人の人柄如何では、この石は良くも悪くもなるのだから」


「……それが、選ばれた、ということですか?」


「そうね。選ばれた、というよりは、お互いがお互いを呼び合ったというべきかしら」


「……よく、わかりません」


「ふふふ、いいのよ。今はそれで。あなたと瑠璃の石はまだ出会ったばかり。人もそう
でしょう。お互いを知るまでは探り合ってしまうことがあるけれど、でもその人が信頼できる人だと分かれば、もうなくてはならない存在になってしまう。
あなたと瑠璃の石は、まだお互いを理解する時なのよ。もっと話をしなさいな。
そうすれば、もっと石のことが分かるようになるわ」


「石と、話をするんですか?」


「そうよ。……そうね。石の方はもう対話の準備が出来てるみたいよ。あとはあなたの気持ち次第」


「石と、話し?」


感覚的なことは良くわからなかった。


「ヘラルドさんは、石を持つのは誰でもいいんだって言ってました。力を持つのは石で、わたしは石を守っているだけだって」


老女は視線を窓の外に向けた。


「ばばさま?」