久遠の絆

(私の力では何も変わらない……)


ヘラルドに一発入れてやろうと思って勢いよく飛び出した部屋。


逆にその男に殴られ、無理やりに連れ戻されてしまった。


暗に、『お前は自分の役割をただ黙々と果たしていろ』と言われたみたいだった。


今の蘭の役割とは。


息も絶え絶えとなっている老女を甦らせること。


(それ、わたしに出来るなら最初からやってるよ)


ナイルターシャが石の力を引き出すといっても、今の彼女の状態ではそんなことできそうにもない。


意識がないのだから。


(あの村に帰してあげたほうが、早いよ!!)


ヘラルドがいない場所では、彼のことを毒づくこともできた。


けれど。


いざ彼の前に立つと途端に気持ちは萎縮し、ひと言も発せなくなってしまう。


蘭にとってヘラルドは、すでに恐怖の対象になっていた。


彼に、老女を村に帰して欲しいなどと面と向かって言えるわけない。


言ったらまた何をされるか。


(どうしよう。どうしたらいいんだろう)


先程から溜息ばかりしていた。


そして。


こうしている間にも気になっていることがあった。


シド・フォーンのことだ。


常とはまったく違った彼の様子。


あの彼の寂しげな表情が頭から離れてくれなかった。


(シェイルナータさま。わたし、どうしたらいいの?)


こんな時に頼みに思うのは、母とも思う神殿の異空間に住まう女性。



そして。