久遠の絆

「先程までのことはすぐに忘れるんだ。いいな」




弱いものを従える強者。


部下を使うことに慣れた、独裁者。


それはシド・フォーンに与えられた評価ではなかったか?


しかしヘラルドこそが、その評にしっくりくる。


彼こそがこのガルーダを牛耳っている。




蘭は頭を抱えながら、そんなことを思っていた。




地面に突っ伏し震える少女を見ても、ヘラルドは表情一つ変えることはなかった。


「余計なことに口出しせず、あの老女の治療を早く進めろ」


「……ちりょう?」


「瑠璃の石。お前が持っているのだろう?」


「……瑠璃の石が、ナイルターシャを治せるんですか?」


赤黒く変色し始めた頬を押さえながら、蘭は縋るようにヘラルドを見た。


そんな蘭に、ヘラルドは侮蔑の笑みを浮かべて答えた。


「お前は何も知らないのだな」


きゅっと唇を噛む蘭。


そう。


彼女は実のところ何も知らないのだ。


当の本人よりも、ガルーダの独裁者達の方が多くを知っている?


(この人たちはどこでそれを知ったんだろう……)



一瞬そんな疑問が頭をかすめたが、すぐにヘラルドの言葉にかき消されてしまった。


「ひとつだけ、教えてやろう」


心持ち体を曲げ、疑いたくなるほどの優しげな声音でヘラルドは言った。