久遠の絆

静かになった部屋で所在なげに座り込む蘭。


視線の先には、べッドに横たわり浅い息を繰り返す老女の姿が。


けれど他に人影はない。


シーンと静まり返った部屋には、彼女と老女しかいなかった。


窓の外は白々と夜が明けようとしている。


暁の光が、ぼんやりと差し込んでいた。



「は~~~」



何度目かの溜息をついた蘭は、老女から視線を逸らすと頭を抱え込んだ。


何かしら不安に思うことがあると、いつもそうやって頭を抱えて身を小さくさせる。


それが彼女の自己防衛だった。


外界とのつながりを一切遮断させれば、この不安定な気持ちも治まるんじゃないか。


そんな根拠のない、漠然とした思いから、彼女はあえて孤独であろうとした。



でも。



今の彼女は、それには何の意味もないことを知っていた。


目を逸らすよりも。


自分と外界との間に結界を張るよりも。


この世界での経験で。


前を見据え、現実を受け入れ、先のことだけを信じていることにこそ意味があることを知ったのだ。


それはとても辛く、いつも心の傷口から血を流しているようなことだったけれど。


逃げるよりは、ずっといい。


立ち向かって、拳のひとつでも相手に見舞えばいい。


そのくらいの気概でいなくては、とてもじゃないけど、この世界では生きていけない。


生きるって、決めたんだ。


自分を変えるって、決めたんだ。


だから、結界、張ってる場合じゃない。