久遠の絆

本筋をかなりの距離来た所で、ようやく上へと上がる階段が現われた。


(疲れた……)


体が重くだるい。


階段をやっとの思いで上がって行った。


もともとの鍛え方が違うのだ。


ヘラルドはどんどん上へ行ってしまう。


「待って」とも言えないまま、蘭は自分の周りの明かりが乏しくなっていくのを恨めし
く思いながらも懸命に足を動かした。


(もっと運動しよう)


そう思ったとき、やっとヘラルドに追いついた。


彼は先程の小屋のものと同じような扉の前に立っていた。


「着いた~」


思わず声に出した蘭はその場にへたり込みそうになったが、ヘラルドは一瞥しただけで
さっさと扉の向こうに姿を消してしまった。


(優しい言葉なんて期待してないけど、少しはなんかあってもいいんじゃない?)


などと思っても、相手には届かない。


労わりの言葉など期待するだけ無駄だった。


(これがカイルやニアスなら……)


帝国での自分は本当に恵まれていたと今さらながら思ってしまった。


人間得てして、その時には気付かないものだ。


肩を落としながら扉の向こうの部屋に入っていくと、先程の小屋よりは幾分人の生活する空気が漂っていた。


ヘラルドはそこにいた年若い女性と小声で何か話している。


(え、誰だろう?)


そのふたりの向こうにベッドがひとつ。


そして、そこで蘭が見たものは……。




息も絶え絶えに横たわる老女。


ナイルターシャだった。