彼が蘭を庇うようにすっと前に出た。
と同時に、植え込みを掻き分けるように人影が現われた。
蘭は緊張の面持ちで、その影の正体を見定めようと目を凝らした。
一歩一歩その影がこちらに近付いて来る。
それにつれて、前に立つヴァイオリンの人が少しずつ横へ横へとずれていく。
(どうしたんだろう)と思った途端、彼は「じゃ、また」と小声で言い置いて、人影とは逆の方向にある植え込みへと走り去ってしまった。
(え~~?)
彼が消えた植え込みを見ながら唖然とする蘭に、人影が話しかけた。
「そこにおられるのはランさま、ですか?」
聞き覚えのある声に、蘭はほっと息をついた。
「はい、ヘラルドさん」
「こんな所においでだったのですか?」
「すいません……」
東屋まで来ると、かすかに顔が見える位置で彼は立ち止まった。
その口調は穏やかだが、明らかに怒っている。
「大事なお客様を放り出して、シドさまのお顔を潰すおつもりですか?」
「……わたしは、好きであそこにいたわけじゃありませんから……」
言ってしまってから、言わなければ良かったと後悔した。
口答えなんて、するだけ損なのに。
素直にはいはいと頷いていればいいのだ。
案の定、ヘラルドはさらに不機嫌そうになっている。
「ランさまは少し思い違いをされているようですね。囚われの身であるにもかかわらず、それ以上の生活をさせて差し上げているのは何のためだとお思いです。
あなたに同盟と帝国の架け橋になって頂きたいからこそ、今夜の晩餐会にもお出まし頂いたのではありませんか」
「……」
「お分かりになりませんか?」
「わたしは、どうすればいいんですか?」
と同時に、植え込みを掻き分けるように人影が現われた。
蘭は緊張の面持ちで、その影の正体を見定めようと目を凝らした。
一歩一歩その影がこちらに近付いて来る。
それにつれて、前に立つヴァイオリンの人が少しずつ横へ横へとずれていく。
(どうしたんだろう)と思った途端、彼は「じゃ、また」と小声で言い置いて、人影とは逆の方向にある植え込みへと走り去ってしまった。
(え~~?)
彼が消えた植え込みを見ながら唖然とする蘭に、人影が話しかけた。
「そこにおられるのはランさま、ですか?」
聞き覚えのある声に、蘭はほっと息をついた。
「はい、ヘラルドさん」
「こんな所においでだったのですか?」
「すいません……」
東屋まで来ると、かすかに顔が見える位置で彼は立ち止まった。
その口調は穏やかだが、明らかに怒っている。
「大事なお客様を放り出して、シドさまのお顔を潰すおつもりですか?」
「……わたしは、好きであそこにいたわけじゃありませんから……」
言ってしまってから、言わなければ良かったと後悔した。
口答えなんて、するだけ損なのに。
素直にはいはいと頷いていればいいのだ。
案の定、ヘラルドはさらに不機嫌そうになっている。
「ランさまは少し思い違いをされているようですね。囚われの身であるにもかかわらず、それ以上の生活をさせて差し上げているのは何のためだとお思いです。
あなたに同盟と帝国の架け橋になって頂きたいからこそ、今夜の晩餐会にもお出まし頂いたのではありませんか」
「……」
「お分かりになりませんか?」
「わたしは、どうすればいいんですか?」


