久遠の絆

膝に突っ伏してなく蘭の頭を、彼は優しく撫でてくれた。


「思い切り泣くといい。泣くのを我慢してはいけないよ。君の辛さを、俺が受け止めてあげるから」


もう蘭は泣いている理由など分からなくなっている。


それなのに涙はあとからあとから溢れてくる。


彼にこんなに甘えてしまうのは、彼のことを何も知らないからだ。


名前すら、まだ知らない。


彼も聞かないから、蘭も聞かない。


でもそれでいいと思う。


彼は非現実的でいいのだ。


だからこそ、蘭はほっとできるのだ。


「ごめ……なさい……」


しゃくり上げながら言う蘭に、彼は「いいよ」と言うように頭をぽんぽんと優しく叩いた。


それから彼の手は、そのままずっと蘭の頭の上にあった。


包み込むような温かさがその手から伝わり、徐々に体の下へと波及していく。


冷たくなっていた手足の指先まで、彼のぬくもりが伝わっていった。


「少し楽になった?」


蘭は頷いて、最後の涙を手で拭った。


「ありがとうございます。あなたがいてくれて、良かった」


本当に彼がここにいてくれなければ、彼とここで出会わなければ、自分はとっくに折れ
ていただろうと思う。


(カイルとどこか似ているのかもしれないな……)


改めてそう思った。


それと同時に、まだまだ自分の足だけで立つことは出来ないんだとも思う。


(不安定で、ふらふらしてる。誰かに支えてもらわなければ、こうやって立ち直ることも出来ない。
……ひとりがいいって思ってたのに、わたし本当はこんなにも弱かったんだ)