久遠の絆

ようやく正面に立つシドの前に来ると、彼はにこりともせずに、脇に立っている数人の男性に蘭を紹介した。


同盟を結ぶ国々の首脳達だった。


「なるほど。帝国の貴族の方だけに、可愛らしいお嬢さんだ」


「王族に連なる家柄でいらっしゃるとか。本来なら我々など直にお会いすることも叶わ
ぬご身分ですのに。畏れ多いことですな」



(シド・フォーンは、わたしのことをなんと言って紹介しているんだ?)



彼らの値踏みするような、いやらしい目つきが気に食わなかった。


(そんな目で見ないでよ!)


そう叫び出したかったが、喉に何かが詰まっているような感じがして、上手く声を出せない。


「皆さん、しばらくこちらに滞在されるから、その間お相手を頼みますよ。帝国の様子など、話して差し上げてください」


(なんで、わたしが!)


特に、彼らのような中年の男性にはなるべくなら近付きたくないのだ。


下卑た笑顔を浮かべた、あの男のことを思い出してしまうからだ。


(あの男って、実の父親なんだけど……)


中年のおじさんは皆一緒に思えてしまう。


「さあ、お席にどうぞ。まずは乾杯と参りましょう」


そうして始まった酒宴は終わることを知らず、深夜にまで及んだ。


おじさんたちの他愛もない会話の相手をしているだけなのに、蘭はぐったりと疲労の色も露わだ。


それに対して紳士淑女は疲れを知らぬかのように、晩餐会は盛り上がっている。


(みんな、なんであんなに元気なんだろう……)




早く部屋に帰りたい。


それから東屋に行って……。


そうだ。


もうあの人が来ているかもしれない。


こんな所でおじさんの相手をしている場合じゃない。