久遠の絆

この屋敷の中では比較的豪華な装飾の施された広間に通された。


たくさんの人がひしめいている。


蘭は圧倒されたように立ち尽くしていた。


「ランさま」


リリカに促されるように肩を押された。


それでやっと一歩を踏み出す。


彼女の一挙手すべてを見逃すまいとするかのような視線が痛い。


突き刺すような視線だった。


(捕虜のわたしをこんな風に人目に晒して、シド・フォーンは何が面白いんだろう)


彼の意図するところがまったく分からなかった。


食堂で一緒になったあの夜から数日が経っている。


その間また音信不通となっていたシドだったが、今朝になって突然、今夜開かれる同盟
の有力者を集めての晩餐会に出席するように言ってきたのだ。


「どうしてわたしが?!」


聞いた途端、蘭は素っ頓狂な声を上げた。


それはそうだろう。


彼女がその場にいなければならない理由はひとつもないのだから。


それとも、“瑠璃の巫女”を捕らえたと自慢でもするつもりなのだろうか。


彼の行動はいつも突然で、蘭には理解し難いものだった。


そして今も。


蘭は訳が分からないまま、衆目の中を静々と歩いていた。


(ここにいる人たちは、わたしが何者か知っているんだろうか。知っているから、こん
なに好奇の目を向けているんだろうか)


ぐるぐると頭の中で考えが巡る。


いつものゆったりとしたドレスだが、普段のそれよりもレースやリボンで飾られている
ためか、足にまとわりついて歩きにくい。


(シド・フォーン。何考えてんのよ!)


イライラを彼にぶつけた。