久遠の絆

とは言っても小さな庭だ。


すぐに端に辿り着いてしまう。


その隅には東屋がひとつあった。


そこは蘭がもっとも癒される場所。


この国において、心を解き放てる唯一の場所だった。


東屋に据え付けられたベンチに腰掛けると、雲に見え隠れする月を見上げた。


この世界にも月はある。


けれどそれは、蘭の世界の月とはまったく違うものだった。


まず満ち欠けがない。


そしていつも空の同じところに留まっている。


昼も夜も。


(自転とか、公転とか、ないのかな……)


彼女はこの世界のことをまったく知らないでいる。


自分のことに精一杯で、知ろうとする暇がなかったせいもある。


(もっといろんなことに目を向けられるようにならないといけないのかな)


傷付くことが怖くて周りから距離を置くのではなく、もっと自分から歩み寄っていかなければ、自信を持つことなんて出来ないのかもしれない。


(でも、難しいな)


防御することに慣れてしまっているから、なかなか近寄ることは出来そうになかった。


「はあ~」


大きな溜息をついて、蘭はうな垂れた。


(やっぱり同じことばっか考えてるよ~)


こうしている間にもあいつが現われたらと、びくびくしている自分がいる。


(あいつの呪縛から逃れない限り、前に進むことは出来ないんだろうな)


膝の上に置いた指に光る瑠璃の石を見た。


「お前はどうやったら、わたしに力をくれるの?」


同じようなことを何度尋ねたか。