久遠の絆

人気のなくなった部屋。


わたしはまたひとり。


そう思うと、ようやく蘭の意識は現実へと戻って来た。


(考えても考えても、結局答えは出ないんだ)


堂々巡りの思考に嫌気がさした。


(考えても分からないなら、考えない方がいいよね)


自分に言い聞かすようにそう思うと、くるりと寝返りを打った。


窓の向こうも夜の闇に覆われている。


(真っ暗だ)


それでも月が出ているのか。


闇に目が慣れてくると、ぼんやりと周りのものが見えてきた。


すると蘭はおもむろにベッドから下り、窓へと近づいて行った。


すぐ隣の控えの間にはリリカがいる。


なるべく音を立てないように、素足のままそろりそろりと歩いた。


その大きな窓はバルコニーへと続いている。


カチャリ


思わぬ大きな音にびくりとして耳を澄ませたが、侍女がやってくる気配はない。


ほっと息をついて、バルコニーへと出て行った。


ここからは、唯一彼女が自由を許されている、小さな庭へと行くことが出来る。


気分転換に夜の散歩を。


そんな気分だった。


今、冬に向かっている南の大陸。


空気は夜になると冷え込み、蘭はぶるりと身を震わせた。


(しまった。上に何か羽織って来れば良かった)

と思ったが、ひき返して見咎められたら、せっかくの散歩が台無しになる。


羽織るものは諦めて、蘭は小道を歩いて行った。