久遠の絆

その頃、呆然と立ち尽くしたままの蘭をようやくリリカが見つけたところだった。


「ランさま」


「え?」


何度目かの声掛けにようやく反応した蘭を、リリカは呆れたように見返している。


「ああ、リリカ。いたの?」


「いたの、ではありません。なかなかお戻りにならないので、何かあったのかと思いましたよ」


「ごめんなさい。少し考え事をしていたの」


「どうやら、そのようでいらっしゃいますね。でももうお部屋にお帰りになった方が良い時刻ですわ」


「あ、ええ、そうね。帰るわ」


虚ろな表情のまま、蘭は扉の方へ向かって行く。


心ここにあらずと言った感じだ。


そんな彼女の後ろ姿を見ながら、リリカは不思議そうに小首を傾げていた。






蘭は部屋に戻ってからも、ずっと同じような様子だった。


普段も自分から話す方ではないにせよ、これ程に何を言っても何をしてもされるがままということはない。


意識がどこか遠くへ飛んで行ってしまったかのようだった。


さすがにリリカも心配になったのかもしれない。


もしや熱でもあるのかと、蘭の額に手を当ててみたり、脈拍を測ってみたりと蘭の様子を調べてみたが、特に体調が悪いわけではなさそうだった。


そしてリリカは他に思い当たる原因はないかと、顎に手を当てて考え込んだ。


けれど思い当たることはない。


もうさっさと寝かすに限る。


そう思ったのか、彼女は蘭を無理矢理ベッドに押し込んでしまった。


「お疲れが出たのかもしれませんね。今夜はもうお休みくださいね」


いつになく優しげに言って、サイドテーブルの蝋燭をふっと吹き消すと、用は済んだとばかりに足早に立ち去ってしまった。