久遠の絆

「あの娘にお会いになったのですか?」


隻眼の参謀が含み笑いをしながら尋ねた。


めったに笑うことのない男が笑みを浮かべていることに不気味さを感じながらも、「ああ、会った」とシドは淡々と答えていた。


「今までお会いになろうとされなかったのに、どうされたのです?」


「少し、話をしてみたくなった」


「お珍しい」


思わぬ答えに、ヘラルドは目を見開いた。


「珍しいか?」


「女子供に自ら近寄ろうとはされないでしょう、総帥は」


「……まあ、な。だが、彼女は特別だ」


「……」


「『瑠璃の巫女』である彼女がどのような人物か、知っていて損はないだろう?」


「それで、どんな方なのか、お分かりになりましたか?」


「……普通の、少女だった」


「なるほど。わたしが常々申し上げている以上の収穫はなかったと。可愛らしい女性と食事を共にされて、さぞ料理も美味しかったことでしょうね」


「お前……面白がってるだろ?」


「とんでもない。総帥がうら若き乙女と差し向かいで食事をなさったことを、良いことだと思いこそすれ、どうして面白がったりするでしょうか」


「面白がってるじゃないか」


「まあまあ、本当にお珍しいことだとは思いますが、ね。たまにはそういった潤いもあってよいと思いますよ。
総帥とて、まだまだお若いのですから。その気になれば、幾らでもお楽しみになれるご身分なのですし」


「何で、そういう話になる?俺を、お前と一緒にしないでくれ」


「女性に癒しを求めようとはお思いにならない?」


「だから、お前と一緒にするなって」


「……そうですか……」



ヘラルドの顔には、思い切り“もったいない”と書いてある。