久遠の絆

「い、いえ、そうではなく……シドさん、わたしが食べ終わるのを待っててくれたんですか?」


「そんなつもりはない」


シドはそう言って、颯爽と扉の方へ歩いて行く。


「あの!」


「なんだ?」


「もっとお話させて下さい!」


どうして彼にそんなことを言ったのか自分でも分からないまま、扉に手を掛けたままこちらを見るシドを、蘭は懇願するように見つめていた。


「私は話をすることはないが」


ややしてシドはそう言うと、さっさと扉を開け出て行こうとする。


「教えて欲しいんです。わたしはこれからどうすればいいのか。いつまでここにいればいいのか。分からないまま、ただ部屋に閉じ込められてるなんて嫌なんです。
……あなたがわたしのことを『瑠璃の巫女』だと知っているなら……知っているんでしょう?だってあの時、あなたがそう言ったんだもの。
私に何か手伝えることがあるなら、言って欲しいんです」


ずっと胸の中にわだかまっていたものが言葉となって溢れ出たようだった。


(そう、わたしは“救い手”として役に立ちたい。必要だって、言って欲しいんだ)


ずっと必要とされていなかったから。


生まれてこなければ良かったとさえ思っていたから。


自分の存在意義を見出せないことほど辛いことはない。


あちらの世界において、両親からの虐待を受け続ける日々は、蘭から自信というものを奪った。


生きる気力を失くさせた。


けれどこちらの世界に来て、蘭は少なくとも自分は必要とされているのだということを知った。


“救い手”としての力は、まだ自分でもどのようなものか分からない。


だから今はとにかく自分の出来ることをしたかった。


ずっと部屋に閉じこもって何かに怯えているより、ずっといい。


「自分でも何が出来るか分かりません。でも、何かわたしにも出来るはずです」