久遠の絆

「お許しいただきありがとうございます。占い師の老女は村の長老で、とても高齢なのです。
村を出たら命を縮めることになるのに、それを同盟軍は連れ去ってしまいました。
女の子というのは俺も素性を知らぬ人なのですが、その老女を助けようと飛び出したために、一緒に連れて行かれてしまったのです」


『なぜその子はそこにいたんだ?』


「それは俺にも……。いきなりどこからともなく現れて、俺たちが止める間もなく」


『ふむ……』


「そして元帥閣下」


『なんだ?』


「村を襲撃した同盟軍を指揮していたのは、シド・フォーンです」


『なん……だと……』


絶句するカイル。


そしてその場が一気にざわついた。


「間違いありません。“漆黒の総帥”と漏れ伝わっている彼の特徴そのままだったので」


その時だった。


カイルの視線が宙をさまよった。


見えない何かを探すように、あらぬ方を見ている。


思わぬことに皆言葉をなくし、その様子を見守るしかなかった。


『カイルっち、どうした?』


慌てたような熊の声だけが、スクリーンを通して響き渡る。


ややして視線の焦点が定まったカイルは、また瞳に鋭さを取り戻してニアスを見た。


『すぐに彼らを連れて、前線に戻れ』


「閣下、大丈夫ですか?」


『大事無い。案ずるな』


「僕、謹慎では?」


『処分はすべてが終わった後だ。直ちに前線へ』


カイルがそう言い放つと、ぷつんと通信は断たれてしまった。