久遠の絆

マトに自分を卑下するようなことを言わせてしまったことが悔しかった。


けれど、この国には抗うことの出来ない身分制度があるのも事実で。


(どうしてカイルさま。急に前線に行っちゃったんだろう)


泣きたくなるのを堪えながら、必死に次なる手を考えていると、

「じゃあ、ニアス、いろいろありがとう。俺達行くわ」

と、マトが肩をぽんと叩いた。


「え?行くってどこへ?」


「こうなったら自分達でどうにかするしかないからな。とりあえず前線に行ってみようと思う」


「前線?」


「そう。そこで同盟軍の船に上手く乗り込むことができれば、活路が見出せるかもしれない」


「そそそそそんなの!危険すぎるよ!まして乗り込んだって、ばばさま達の行方が分かるとは」


「そう、限らない。でも手をこまねいている時じゃないから」


「僕が……一緒に前線に行くことさえ出来れば、カイルさまにお会いすることも出来たんだ……」


「これ以上君の立場を危うくするようなこと、させられないよ。ここにいろと言われたんだろ。なら、そうしておいた方がいい。俺達は、なんとかするから」


「マトさん」


ニアスは今ほど組織に属する身を恨めしく思ったことはなかった。


この国で軍にいることは最高の誉れとされる。


しかし今は、それよりももっと大事なことがあるような気がしてならなかった。


(僕は、いつの間にかカイルさまの近習であることを自分の力だと勘違いして、すべての自信に繋げていたんだ。本当は、何の力もないのに……)


うな垂れるニアスを置いて、マトとマヤが足早にその場を立ち去ろうとしている。


何か。


何か方法があるはずだ。


もっと確実な方法が。


ニアスははっと顔を上げた。


「マト!マヤ!」