久遠の絆

「カイルさまがいないっ?!」


前線に行ってしまわれただって?


ハウレン少将を前に、ニアスは呆然と立ち尽くしていた。


首都に着き、船を降りてすぐ、ニアスら3人は本営へと向かった。


カイルがいるのはそこしかない。


そう思って来たのに、元帥は自ら前線に赴いたという。


「では僕と行き違いになったということ?」


「そもそもお前がなんでここにいるのかが、私には不思議だが?」


ハウレン少将は苦い表情をしていた。


それも当然のことだった。


元帥の近習であるニアスがその側を離れ、見ず知らずの民間人と共にいるという不可解さ。


戦況の厳しい中にあって、それは軍務に反する重大なことだった。


「処分を覚悟してのことだろうな」


うっと言葉に詰まる少年兵を睨みつけたまま、少将はその後ろに控える褐色の肌の青年
へと詰問の矛先を向けた。


「それで、君達はどんな重大な事柄で、閣下に面会を求めるんだ?」


そこには、ありありとマトたちを見下す響きが込められていた。


ハウレン少将は、アルファラ公爵家ほどではないにせよ、帝国でも古い家柄の大貴族の出身だった。


辺境のジャングルから来た民間人など、本来なら対面すら許されないほどの身分差がある。


それ故の態度だった。


ニアスにとっては、普段意識することのない身分の壁。


けれど少将とマトたちの間には、歴然とした隔たりがあった。


それをマトも感じ取ったのか。


「どうしてもお願いしたいことがあるのです」


そう言った声は硬く、緊張していた。