久遠の絆

「ああ。そのばばさまが同盟軍に連れて行かれたなら、帝国にとってはかなりの痛手になると思う。だから」


「だから、それを知らせに行くの?」


「そうだよ。そしてばばさまを連れ戻すための助力を頼もうと思っている」


ニアスにはなんとなく腑に落ちない話だった。


喉の奥に何か詰まったような、そんな不快な感じの残るマトの告白。


マトはまだ本当のことを全部言ってないんじゃないか。


そんな疑念が、ニアスの中に生まれた。


マヤはすんなりマトの話を信じたようだけど。


ニアスがそれを感じ取ることができたのは、常に駆け引きの渦巻く政治の中枢にいた者の第6感とも言うべきものだった。


(マトさんは何を隠している?それに……)


ニアスはもうひとつの疑問を再度口にした。


今のマトなら、そのことについて何らかの答えを出すかもしれない。


それが嘘か真かは別として。


「ばばさまと一緒に捕らえられた女の子って言うのは、村の人ではないんでしょう?」


案の定マトは、一瞬口ごもったものの『その少女』について話し始めた。


「彼女は名前も知らない。ジャングルで迷っているところを俺が見つけたんだ。ちょうど同盟軍に襲撃された時で、混乱の最中だったから。
彼女がばばさまを助けるために飛び出すなんて、考えもしなかった。あの子には本当にすまないと思っているよ」


そう言って、マトは心底から申し訳なさそうな顔をした。


(なんだろう。なんでマトの話はこんなに、気持ち悪い?)


もやもやしている。


マトは何を隠しているんだろう。


その広い胸に、どれだけの『真実』を隠している?


美味しいはずの食事も、まるで砂を噛むように後味の悪いものになってしまった。


けれどこれ以上マトから聞き出すことは難しいだろう。


彼は『真実』を話さないと決めているのだろうから。