久遠の絆

案の定、マトは反応した。


「元帥閣下の……?」


「うん。そうだよ。だから君たちがもし同盟軍のことで首都に行くのだとしたら、僕何かしら手助けできるんじゃないかと思うんだ」


「……そう」


「軍人の手なんか借りないよ」


「マヤ」


マトは、鋭い声を上げた妹をたしなめるように見た。


「あたしは軍人なんか嫌いだ。軍人がいるから戦争が始まっちゃう。そしていつも辛い思いをするのは、あたしたち民間人だ。
戦争は、何もかも奪ってしまう。あたし達の大事なばばさままでっ!!」


マヤはぼろぼろと涙を流していた。


それまで堪えていたものが、一気に噴き出したようだった。


胸が痛かった。


どうしようもなく。



『軍人がいるから戦争がある』



熊の中将と交わした会話が甦る。


それまで確かだった地盤が、ぐらぐらと揺れているようだった。


「マヤ、今ここで、それをニアスに言っても仕方ないだろう」


マトが諭しているが、激したマヤはなかなか治まらない。


「じゃあ、兄さんは許せるの?兄さんが一番、ばばさまを慕っていたんじゃない?」


「ばばさまを連れて行ったのは同盟軍で、帝国軍じゃない。マヤ」


「そうだけど!けれど同じだよっ!軍人はみんな同じだっ!」


「マヤ……。やっぱりお前は村に残れ。どうしてもって言うから連れて行くことにしたけど、冷静でいられないなら連れて行けないよ」


「だって、兄さん」


「忘れるな。ニアスはお前が怒りをぶつけるべき相手じゃない。彼は何も知らないんだから」