久遠の絆

村人のぼそぼそ声はまだ続いている。


「マトは、この村でなければばばさまは生きていけないって言ってたろ」


「そりゃ、あのお年だ。乱暴に扱われたら、それだけで参ってしまわれるだろうよ」


「同盟軍だって、年寄りをぞんざいに扱うほど鬼畜でもないだろうさ」


「そう、願いたいが……」




ばばさまというのは、この村の村長でもあったのだろうか。


どうして同盟軍はそんな老女まで連れて行ったのだろう。


それに女の子というのは、どうやら村人たちの知らない人物らしい。


まったく部外者のニアスでも、疑問に思うことばかりの話だった。


問い正したいけれど、話しかけることは躊躇われた。


まず自分の身分から明かさねばならないことを思うと、それも煩わしい。


そうやって答えのない疑問に悶々としていると、「待たせたな」とマトの声がした。


ほっとして顔を上げると、マトの傍らにひとりの少女が立っていた。


マトは広場から少し離れた藪の中にニアスを連れて行くと、まず少女を彼に紹介した。


「こいつは俺の妹でマヤ。マヤ、彼が話したニアスだよ」


「ふうん、女の子みたいね」


彼女はずばずばとものを言う性格らしい。


いの一番に、ニアスのもっとも気にしていることをはっきり言ってくれた。


「マトさん。えと、マヤさんも一緒に?」


「俺達は、君が来なくても首都に行くつもりだったんだ。どうしても会わなくてはいけない人がいるからね」


「……それは……?」


「……」


「兄さん、なんでこの子にそんなこと言う必要があるのよ。一刻を争うのよ。さっさと
連れて行きましょうよ」


完全に年下扱いだ。


ニアスはなんとなく面白くなかった。