久遠の絆

「そのくらいですんで、運が良かったよ。どうやって帰るか決めてるの?」


戦闘機は当然のことながら使えないし、通信も戦闘機の動力が機能を停止してしまい、うんともすんとも言わなくなってしまった。


迎えを呼ぼうにも、手段がない。


「なら、俺が送って行ってやろう。ちょっと準備しなきゃならないから付いて来てくれる?」


「え、送って行ってくれるんですか?」


思わぬことに、ニアスは驚きを隠せなかった。


「だって、それ以外に方法がないでしょ。君としては一刻も早く帰りたいだろうし」


「……ありがとうございます」


「歩けるかな?」


ニアスは数歩歩いてみた。


痛みを感じていなかったときにはすんなりと歩けていたのに、それを意識してしまうと、片足を庇うような足の運びになってしまう。


「じゃあ、俺の肩を貸そう」


そう言うとマトは、ためらいなくニアスの体を支えるように脇に腕を通した。


「す、すいません……」


ジャングルをゆっくりと進んで行くと、うっそうと茂る木々がぽっかりなくなっている場所に出た。


その広場のような場所を埋め尽くすように人がひしめいていた。


「ここは……」


こんなに人がいたとは思っても見なかったので、ニアスは呆然と立ち尽くした。


「村の人たちだよ。あそこには当分住めないから」


家々が焼かれた惨状を思い出す。


皆一様にうなだれ、その場は怖しいくらいに静かだった。


顔を上げてニアスたちの方を見ようとする者もいなかった。


「じゃあ、ここでちょっと待っててね」


マトはそう言うと、村人達の間を縫うようにして大きな岩の陰へと入って行った。