久遠の絆

「そんなことより、帰らないのか?」


「え?」


「ずっとこんな所にいて、僕は叱られないのかな?」


急に子ども扱いをする青年に、ニアスはむっとしながら


「僕はニアスだよ。それに戦闘艇が撃墜されて、帰るに帰れないんだ!」

と声を張り上げた。


「ふうん」


すると青年は腕を組んで考え込んでしまった。


「あ、あのう?」


もう青年から発せられていた殺気は感じなかった。


日頃から鍛錬しているのか。


程よく筋肉が付き、均整の取れた、しなやかな体躯。


先程の俊敏な動きからしても、彼が只人ではないことが窺われた。


そして双眸には、知的な光。


ニアスはいつしか彼を憧れの眼差しで見つめていた。


殺されかけたにもかかわらず。


ニアスがあと数年を待たなければ手に入れられないようなものを、この青年はすべて持ち合わせているように感じた。


カイルともまた違う、自分の目指すべき姿がそこにあった。


「あなたの名前は?」


いまだ考えに沈んでいる青年に、ニアスは遠慮がちに声を掛けていた。


ふっと顔を上げた青年は、自分より頭ひとつ分ほど背の低い少年に微笑みながら、

「俺は、マト」

と言った。


「僕、いやニアス、か。どこも怪我してないの?」


そう言われてみると、なんとなく足首や手首の辺りに鈍い痛みがあるようだ。


気が高ぶって感じていなかった痛みを、少し落ち着いてきた今頃になって感じてきたらしい。