久遠の絆

◇◇◇





計器がおかしい。


そう思った帝国軍旗艦管制室のオペレーターは、今や熊よりも怖ろしい形相と成り果て
ているゲルシュ・グレンに、恐る恐る報告した。


「中将どの。これを……」


「ん?」


指し示された計器は、数字が右往左往しまったく定まらないでいる。


「なんだ?こりゃあ」


熊の肩越しに覗き込んだニアスも眉をひそめた。


元来艦船の中で最も精密でなくてはならない計器類が故障した?


「そんなことはありえません」

とオペレーターは困惑しながらも強い口調で言い切った。



「じゃあ、これはどういうことなんだ」


「中将、何日か前に……」


「ん?」


オペレーターの示唆することにようやく思い至った中将は、


「おい、全軍に撤退命令だ」


「は?」


「早くしろってんだよ!全軍全速でこの空域より退避っ!!」





ただちにアザゼル収納。


艦船は船首を反転、のちに加速。


しかし追い討ちを掛けるように砲弾の雨が降る。


火を噴き、落ちゆく帝国軍の船。


その犠牲を少しでも減ずるために、ゲルシュ・グレンやニアスの乗る旗艦は最後まで反撃を続行した。


そして彼らは、艦船の隙間から、見た。


同盟軍の旗艦に、遠目でも分かる巨大な大砲が載っていた。