久遠の絆

「なんです?」


ついつい身構えてしまうのは仕方のないことだろう。


「人と人が殺し合うってのは、むなしいもんだ。そう思わんか?」


「……」


「俺がこんなこと言うのはおかしいが、やっぱりいくら考えても納得いかねえ部分がある」


「……後悔、されてるんですか?」


「そういうわけじゃねえよ。そういうわけじゃねえが、なんつうかな、戦ってるとな、
あの金属の塊の中に人がいるっていうことを忘れてる瞬間があるのさ。ただ対象物を打ち落とす。それだけを目的にしてる時がな。

そんな時俺は自分で自分が嫌になるんだ。俺達は、なんてしょうもないことをしてるんだろうってな。なあ、坊主、思わないか?なんだって俺達は人に向かって砲弾を放つことができるんだろうなあ」


(らしくないことを)とニアスは思い、同時に、それが彼の本心であるならば、何故ゲルシュ・グレンという人は戦場に立つのだろうと思った。


そう問い掛ける視線でもしていたのだろうか。


ニアスを見た熊はふっと自嘲の笑みを浮かべ、

「俺達が守らなきゃ、誰が守るんだ?」


とどのつまりはそういうことなのだ。


火気を携え攻め来る敵に対峙するには、こちらも同じような装備で立ち向かわなくてはならない。


そして結果として起こる戦争。


軍人が守るべきものは国であり、民であり、そして家族。


それらを危険に晒さないために戦うんだ。


「だけどな、坊主。
人の命を奪ってまで構築される平和に、いったいどれだけの意味がある?俺はそれほどの意味があるとは思えんのだ。こちらが幸せになったとしても、相手の国の人々は不幸になっているかもしれない。
それなのに心底からその幸せを享受することが出来るだろうか。おそらく今度は相手側が自分達が幸せになろうと、また武器を手にすることになるだろうな」


「……」


「……ま、なあんてことを考えちゃったりするんだが、こんなこと考えてる時点で軍人失格だろうから、カイルっちには黙っててちょ☆」