久遠の絆

「同情されて嬉しいかい?それであんたの傷が癒えるのか?いいや、そんなことはないね。
あんたはそれで満足するのかもしれないが、状況は何も変わっちゃいない。
お前さんはずっと父親の支配化に居続けるんだよ」


「……」


「ここにいた数日で少しは元気が出ただろう?ならその元気がある内に、前に進んでごらん。包帯を隠すんじゃい。
取ってしまっても平気だって思えるくらいまで、進んでごらんよ。そうすればお前さんに付き纏っている影も、きっと消えてなくなるに違いないよ」


「……」


蘭は俯いて包帯を見つめていた。


これを取る?


そんなこと考えたこともなかった。


けれどシェイルナータはこれを取れるようになれと言う。


生きている実感が欲しくて手首に傷を付けてきた。


その傷を他者に晒すなど考えもしなかった。


それができて初めて、自分はあいつから逃れられるのだろうか。


分からなかった。


漠然とし過ぎていて想像すらできない。


「やってみればいいんだ」


そんな蘭を励ますようにシェイルナータが言った。


蘭は顔を上げた。


優しく微笑むシェイルナータは、やっぱり“母”を感じさせた。


「やってごらん。できるとこまで……」


辛くなれば立ち止まればいい。


けど、途中で投げ出すことはしてはいけない。