久遠の絆

「でも、シェイルナータさま」


「でもじゃあない」


「……ダメ、ですか?」


「だから、ここにいてお前さんは前に進めるのか?
ここにいてもお前さんは変われやしない。変わりたいって思うなら、ここから出なきゃダメだ」


籠の鳥はいつまでたっても飛べやしないよ、とシェイルナータは付け加えた。


「シェイルナータさまって、ほんとにお優しいんですね」


それを聞いて、本人は顔を真っ赤にした。


「な、なに照れるようなこと言ってんだい?」


「だって、ほんとにそう思うんですもん。わたしもシェイルナータさまみたいな、大人の女性になりたいなあ」


するとシェイルナータは顔をしかめた。


「私みたいになったらいけないよ」


「でも、あったかいじゃないですか。シェイルナータさま。あったかくて、思いやりがあて、まるで……お母さんみたい……」



おかあさん?



シェイルナータはふふふと小さく笑った。


「子供を産んだこともないのにお母さんにはなれないさ。あんたがそう思うのは、私が誰よりも年を取っているからだろう。
人間年を取れば少しは神に近づけるさ。この姿が本当だと思うかい?」


蘭はその美しい姿をまじまじと見てしまった。


(それも芝居だと?)


「双子の妹に会えば分かるけどね」


「……本物のナイルターシャさま……」


「そう、あの子は“老い”を受け入れた。私が受け入れなかったのは、何も婆さんになるのが嫌だったからだけじゃないがね。それも神官たちの“巫女姫さま”でいるには必要なことだったのさ。
奴らも所詮は男。婆さんよりは若い方がいいだろう。婆さんの方がいいっていう奇特な奴もいるかもしれないが、ま、大抵は若い方がいいに決まってる。
若くて美しい。それだけで求心力があるからね」



だからこの姿のまま、年を重ねることにしたのさ。