久遠の絆

「でもカイルは……」


確か『蘭を迎えに来た』と言ったはずだ。


何故自分の存在を異世界の人間が知っているのかという疑問は置いておいて、蘭自身はそれなりにその気になっていた。


でも召喚させた張本人である巫女姫が、蘭でなくても良かったと言うのはどういうことだろうか。


考えあぐねて、再び蘭の頭は痛み始めた。


「異世界の、あんたの世界の人間なら誰でも良かったんだよ」


混乱するあとの二人を無視して、巫女姫は先を続ける。


「“贄”は異世界の人間でないと務まらない。まあ、すでに分かっているかと思うが、“贄”という言葉を使うのはふさわしくない。
“贄”ではないのだからね。でも便利だからこのまま使わせてもらうが、いいね?」


親切にもそんな断りを入れるナイルターシャ。


彼女にしては稀な気遣いだった。


頷く二人に彼女は満足そうに微笑んでから、グラスのぶどう酒を一口含んだ。


「それで、だ。麻生 蘭」


「は、はい」


突然名を呼ばれ、蘭は背筋を伸ばした。


「誰でもいいと言ったが、あんたがここに来たのは、やはり最初から決まっていたことなんだよ」


「……」


「……巫女姫にはなんだか本当に不思議な力があってねえ……。
私はそれを幾度も体感してきたが、次元を超えて気配を感じるということができるらしい」


「らしい?」


「そう……らしい、だ。無意識の下における経験だから、巫女姫自身もトランス状態にあってよく覚えていないんだ。

……世界に崩壊の危機が訪れた時」


突然の予言めいた言葉にドクリと心臓が波打った。


「異世界に救い手生まれる。

巫女姫がそれを感ずれば、すべてを見ることができるだろう。

宇宙より力を与えられし巫女姫よ。

ここに救い手を向かえ、ただちに世界を正すのだ」